きのう読んだ本。 『黒部の山賊』(伊藤正一著) 終戦直後に北アルプスの黒部源流の三俣山荘にたむろしていた四人の猟師のはなし。 彼らの卓越した技能には驚かされる。 昔の猟師の体力、とりわけ脚力に関してはさまざまな書物や資料で確認されている。 昨今の自称・山のベテランが数日費やすところを軽く1日で駆け抜ける。 それよりも終戦直後の乏しい情報量と乏しい装備であれだけの日数を険しい山に入っていて、大きな事故に見舞われていない。 いわゆる下界というか都市部に暮らす人たちよりも桁違いに膨大な知識や法則、知恵が猟師たちの頭には詰まっているのではないだろうか。 あくまでも推測に過ぎないけれど、体力だけでは理不尽の集合帯ともいえる自然の猛威のなかで生きのびることはむずかしいとおもう。 ちなみにこのあたりはこれまでに何度も訪れているけれど、この本を読んだあとに再訪したらおそらくこれまでとはちがった光景が見えてきそうだ。