2016.3.12 10:41 [
冒険 山 津軽]


津軽の山の頂に、4日間で2つ立ってきた。
(冬の時季はあれだけ時間費やしながらほぼ毎回敗退)
もうかんぜんに春。
厳冬のうんざりするようなラッセルもない。
後半はホワイトアウトで視界こそなかったけれど、雪質の良さのおかげで夏よりも遥かに速いスピードで走るように登って降りてくることができた。
今回は絶妙のタイミングに行ったこともあるけど、冬のあいだあれだけ苦しめられた息もできないほどの烈風もなかった。
コンディションがよかったというよりも、厳しい冬の時季はもう終わったというかんじだな。
何事もスムーズに進みすぎるとあっけない。

昨年末の谷口けいの事故現場に行ってきた。
冬の時季は連日の風雪に見舞われるといわれる大雪山系も、この日は不思議なほどコンディションがよくて春のようなポカポカ陽気だった。
厳しい状況のなかで、かならずしも強い者ばかりが生き残るとはかぎらない。
時と場合によっては、もしかしたら弱い者のほうが有利になるのかもしれない。
攻めの強さは、裏を返せば防御の弱さ。
弱さが長所になることもある。
逆に強さがウィークポイントになってしまうこともある。
*
風雪、ホワイトアウトの津軽の山のなかでそんなことを思った。

山は逃げない。
そうよくいわれるけれど、じっさいはそうではない。
たしかに山は逃げないけれど、情熱というものはやがて冷める。
情熱とは旬みたいなもので、その時を逃すと必然的にチャンスも遠ざかる。
結局、山は逃げてゆく。
山にかぎったことではなく、あらゆるチャンスはそういうものだろう。
一生のうちでチャンスが1度きりというわけでもないが、チャンスはそう多くやってくるものでもない。
*
この写真は2001年冬のカナダのセルカーク山脈の偵察時に撮った。
写真を撮った1時間後にクレバスを踏み抜き、この山がすっかり怖くなってしまい、本番として予定していたセルカーク山脈の縦走は中止した。
そのとき以来、この山には1度も訪れていない。
おそらくもう冬のセルカーク山脈の縦走を試みることはないだろう。
たった1度のわずかな失敗で、チャンスはあっけなく崩れ去ったりするものだ。
しかし、ひとつの可能性を「切り捨てた」ときから次なる可能性がはじまるともいえる。
セルカーク山脈でクレバスを踏み抜いた翌冬に、カナディアン・ロッキーを4カ月費やして1200キロ縦走した。
1つがうまくいかなくても、次をめざせばそれでいいのだと思う。

トークイベントのようなもので、すこしだけ話すことになった。
●テーマ
「真冬の冒険、真夏の冒険、そして真の冒険とは」(冒険家・関口裕樹)
●トーク内容
冒険家・関口裕樹さんの新春トークイベントやります!
前半は、関口さんのこれまでのこと。そして、来月から挑戦する北極圏での冒険行について。
「24時間365日冒険のことだけを考えていたい」「自分の冒険哲学の根底には田中幹也さんがいる」という関口さん。
後半は、「成功しなければ冒険ではない しかし成功したということは簡単すぎたからである」など過激な「田中幹也語録」を放つ、田中幹也さんをお迎えして、お二人でお話しいただきます~。冒険ってなんだ?!
●日時
1月31日(日) 17時から19時
●場所
「おみせのようなもの」
横浜市南区中村町3-197
http://omise.nojukuyaro.net/?cat=5
●参加費
500円
●詳細
http://omise.nojukuyaro.net/
(どなたでも参加できます)
厳冬の北極圏から灼熱の砂漠まで、マイナス50度からプラス50度まで、温度差100度に挑戦した若手冒険家のほかではなかなか聞けないよ!