昨夜はクライミングギャラリーThe Tribeにて「冒険とは、旅とはⅢ」(荻田泰永×田中幹也)のイベント。
冬のカナダの旅がメインなのだけれど、自分の場合はどうしてもクライミングから旅へ移行の話をしないと繋がらない。
クライミングは楽しかった。一緒に登った人も個性豊かでおもしろかった。
でも、自分にはクライミングとはちがった別の世界があるのではないかという違和感がついてまわった。
クライミングから旅への移行は、いまだにうまく整理できていない。
この先も自身に問いかけていきたい。
これからも何をめざしているのかわからない旅をつづけていきたい。
クライミングの世界でかんじたいいようのない閉塞感は、旅の世界ではあまりない。
要所で、舞台が岩壁登攀や自転車旅や大雪原の冒険なのに夜のバンコクやタイの女にハマる話を盛り込まざるを得なかった(固人名は出さなかったよ(笑))
なお荻田さんは、2011年冬から初夏にかけて角幡唯介と歩いたカナダ北東部のレゾリュート〜ジョアヘブン〜ベイカーレイク、1600km、103日間。
話がまとまっていてうまい。
なぜそこを歩いたのか、そしてそのルート周辺をとりまく19世紀の北西航路の航海の話が盛り込まれていてひじょうに興味深かった。
ふたりとも氷の上を歩きながら、荻田さんには荻田さんの世界が、自分には自分の世界がある。
(画像のカナダ地図の線は、自分の旅の軌跡)
2月もきょうで終わり。
1カ月の三分の二は、寒波襲来の津軽の山で過ごす。
凍ったテントのなかであれこれ考える。
厳冬アラスカの山で合計846日(16冬で)過ごした栗秋正寿の世界をおもった。
オイラごときの拙い経験であれこれ発信(表現)してしまっていいのだろうか。
いやだからこそそうしたジレンマみたいなおもいを発信(表現)したい。
今月はあっという間だった。
◇
画像は、今季最強寒波襲来の津軽。
今回も行ってよかった。
とつぜんの腰痛悪化で動けなくなることを予測して、何かあっても生き延びれるように、10日分の食糧と燃料を担いで入山する。
連日つづく大雪。下山した日の積雪4メートルを越えていた。
街でも例年にくらべて倍ちかい雪の量。
そして冬の津軽の山ではめったにない快晴にめぐりあう。
ごくたまにしか晴れないからいい。
冬の津軽の山は10年間で200日ちかく入山している。山の頂には数回立った。
今回もやっぱり行ってよかった。
おそらく今シーズンさいごとおもわれる強い冬型にギリギリ間に合う。
厳冬の富士山並みの轟音。
倒されそうな強風と戯れる。
テントのなかであれこれ考える。
そもそも人生において、まちがった選択なんてないのか。
いや、やっぱり、、
結論が出ない思いばかりが頭のなかを交錯する。
むかしっからそういう時間の過ごし方は好きだった。
すぐに結論が出る登山ばかりでなくてもいいとおもう。
今回の津軽は終始体調がよくなくて、一週間ほとんど動けないまま終る。
でも行ってよかった。
悪天候のなか、そのときそこに居ないと見えない光景に出会えたから。
12月中旬に疲れからか体調不良に陥り、年末年始の山旅はどうなってしまうのかと焦る。
もともと故障だらけの身体は加齢ともあいまって、さらに悪化の一途を辿る。
でもクリスマス寒波は、上越のびしょびしょ雪と戯れることができた。
新春寒波は、津軽の風雪とホワイトアウトを連日満喫する。
出発ぎりぎりまで逡巡していたけれど、やっぱり行ってよかった。
余はそこそこ満足じゃ。
◇
この写真は、津軽の最終日の夜明け前の吹雪。
埋もれかけているテント。