昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第5回目 風狂を尽くして 早稲田大学山岳部9年生、竹中昇」だよ。
今回のシリーズで竹中昇が、もっともなじみがうすいかもしれない。これまでの人たち――細貝栄、溝江朝臣、和田城志――は、山岳雑誌にインタビュー記事がある。大きな顔写真とプロのライターの文章があるかないかで、印象がちがってくる。竹中昇の雑誌の登場はない。
より厳しいルートから冬の剱岳・黒部を登るためのステップとしてヒマラヤ7000m峰に登るという発想、おもしろいじゃないか。
(かつては日本の山はヒマラヤのためのトレーニングという考え方が色濃かった)
精力的に難度の高い活動をしていても、自己顕示欲に乏しいと名前が出にくい。
誰かがとりあげないと、いつのまにかいなかったことになってしまう。
昨夜はThe Tribで小松由佳さんのトークイベント。
(K2(8611m)日本人女性初登頂。第23回開高健ノンフィクション賞受賞)
「K2から草原、砂漠へ。人間の土地へ」
これまであまり語られてこなかった登攀から旅へ、そして写真の世界に入ったはなし。
たしかにヒマラヤの氷壁登攀とアジアの遊牧民の暮らしはむすびつかない。
しかし登攀もアジアの旅もシリア内戦取材も、舞台が変わっただけで自身のなかでは好奇心の赴くままに未知の世界を歩きつづけているのだ。これからも歩きつづける。
1963年8月に谷川岳一ノ倉沢衝立岩のダイレクトカンテを初登した東京都立大学山岳部の川副博司のはなしを思い出した。
登攀は学生時代でひと区切りつけたのち、研究の分野にすすむ。
未知の領域への挑戦という意味では、岩場のルート開拓も最先端の研究も意識はおなじではないか。ただ取り組む問題が異なるだけだ、と。
昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第4回目 冬季黒部横断30回・剱の怪人 和田城志」だよ。
和田城志の第一線で活躍していた期間は長い。学生時代から四十代後半まで雪の剱岳や黒部、ヒマラヤの登攀を実践。五十代、六十代は長期(1〜3カ月)の歩き旅、七十代はヨット旅。
十代、二十代で「力のかぎり登ろうぜっ!」と熱く語る人はすくなくないけれど、5年、10年すると「オトナになりなよ、、」に変ってしまう。あらためて和田城志の持つエネルギーをかんじた。
また雪の剱・黒部の登攀史を編纂した実績もひじょうに大きい。先人の足跡があってこそ、現在の先鋭的なクライミングはある。
今回の告知文や雪の剱・黒部の記録整理の一部は、暖房の効いた図書館などではふさわしくないとおもい今季最強の寒波がやってきた青森のドカ雪のなかテントを張ってやった。
昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第3回目 冬季ジャブジャブ水中遡行と超長距離沢継続・溝江朝臣」だよ。
フリークライミングが流行りだした80年代、南アルプスを舞台にひとり黙々と沢に通いつづけたフルタイム沢屋の話。ひと夏を費やして沢から沢への壮大な継続や腰まで水に浸かりながらの冬の遡行を実践。
南アルプス南部の沢は上流部こそ完全凍結のアイスだが、下流部中流部は水のなかをジャブジャブ歩く。冬にウェットスーツを担いでの沢登りは、一時期話題になった。また1〜2カ月間におよぶ沢から沢への継続は、溝江朝臣のほかに見られない。
溝江朝臣ワールドにわずかでも迫ろうと、年が明けてから早朝の寒い時間帯の丹沢の沢で何度か水に浸かってみた。大寒寒波襲来の越後にも出かけて、大雪のなか川に入ってみた。
楽しいとはおもわなかった。
ただ溝江朝臣が寒いとかヤバいとかんじるラインが、凡人のオイラなんかより遥かに上にあるのだということがわかった。
あと参加者の方のなかに現役時代の溝江朝臣を知る方がいて、当時の貴重な話を聞くことができたよ。
昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第2回目 雑食型登山家・細貝栄」だよ。
高校時代に睡魔、幻覚、空腹と闘いながら「眠らずに何キロ歩けるか」を皮切りに、オールラウンドという言葉では括りきれない雑多なジャンルの登山を集中的に実践。型にハマらぬ行動力と自己探究心。千日回峰行など修行僧との共通点についても考察してみた。
なおタイトルの雑食型登山家の二つの意味は、、
一つは食べ物の雑食。細貝栄はなんでも食べる。ヤブ山縦走では、サンショウウオ、ウド、タラの芽、ユリの球根。冬の知床の海岸ではウニをたらふく食べる。冬の日高山脈では、行動食にアルファ米をそのまま食べる。停滞日は、即席ラーメンを生のままかじる。また「旅先であなたの忘れられない食べ物のアンケート」に、猿の糞煮、虎の肉、ハイマツの実、とある。(『地平線の旅人たち』(窓社)より)
もう一つは細貝栄の守備範囲のひろさ。不眠歩行、継続登攀、冬のルンゼ登攀、長期縦走、藪漕ぎ縦走、ヒマラヤの登攀、雨季のネパールトレッキング、ヒマラヤの山麓で水道設置工事や雪男さがし、ミャンマーでの焼畑農業調査、断食縦走。
あと今回のイベントで心残りだったことがひとつある。資料整理は暖かい図書館などではなく凍ったテントでやりたかったが、諸事情からできなかった。

昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第1回目」だよ。
戦後に「長期間」「長距離」をめざした登山家や冒険家にスポットをあて、その人の特色やめざしたものは何だったのか考える。
このあとも細貝栄、溝江朝臣、竹中昇、和田城志、深谷明、栗秋正寿などユニークな方々を紹介する全7回シリーズ。
オイラは毎回登場予定。
ほんとうにやりたいことがある人って、話題にならなくても周りがやっていなくてもやる。そしてつづける。
小雨のなか足を運んでくださった方々、はじめてお会いする方々、ありがとうございました
またお土産なども、ありがとうございました