昨夜読んだ本。 『酒を主食とする人々 エチオピアの科学的秘境を旅する』(高野秀行著) 旅のアクシデントやハプニングは、できることなら起きてほしくないけれど起きないとこれまた物足りなさをかんじてしまう。 この著者の旅は、今回にかぎらずアクシデントやハプニングが多い。 成田空港カウンターで、ヴィザなしではご搭乗いただけません、からこの本ははじまる。 ようやく現地に着いて取材開始するも、こんどはヤラセに巻き込まれそうになる。 よりによってヤラセ前科一犯のクレイジージャーニー。 なんと今回はクレイジージャーニー側がヤラセにひっ掛かった。 ちなみにオイラもクレイジージャーニーで猛吹雪の八甲田山へ行ったものの、アクシデントもハプニングも起こらず視聴者を楽しませることができなかった。 ホワイトアウトでディレクターともカメラマンとも離ればなれになって、オイラが行方不明になり雪解けとともに遺体で発見されたら視聴率に貢献できたかもしれない。 そのときのカメラマンは昨年K2西壁にトライしたまま生還せず。ある意味でホンマモンのクレイジージャーニー。 さて、この本は酒を主食に暮らすアフリカのエチオピア南部の民族のはなしである。 そんなん、あり得るのか!? もちろん副食は食べるが、酒が主食で身体がだいじょうびなんか。 彼ら酒主食族は日常的に、脂、砂糖、塩をほとんど摂取しないことが今回の調査でわかった。 部分的には、ひじょうに健康的。 また酒主食族の体型をみるかぎり、がっちり型が多く健康を害しているとは考えにくい。 「彼らは科学がまだ達していない『未知』の領域にいるのだ」(本文より) 地理的秘境はもはやなくなったといわれるけれど、科学的秘境はまだあるのではないか。 ヤマケイやピークスを熟読して栄養バランスやカロリーをことこまかに計算しても、山に入るとすぐバテる人をたくさん見てきた。 日本酒を飲んだくれてわずかなツマミだけで、信じられないスピードで冬壁を登る酔いどれクライマーもいる。 このあたりもまだ科学的に解明されていない。