昨夜のThe Tribeでのトークイベント「長期間&長距離 登山家列伝 第2回目 雑食型登山家・細貝栄」だよ。
高校時代に睡魔、幻覚、空腹と闘いながら「眠らずに何キロ歩けるか」を皮切りに、オールラウンドという言葉では括りきれない雑多なジャンルの登山を集中的に実践。型にハマらぬ行動力と自己探究心。千日回峰行など修行僧との共通点についても考察してみた。
なおタイトルの雑食型登山家の二つの意味は、、
一つは食べ物の雑食。細貝栄はなんでも食べる。ヤブ山縦走では、サンショウウオ、ウド、タラの芽、ユリの球根。冬の知床の海岸ではウニをたらふく食べる。冬の日高山脈では、行動食にアルファ米をそのまま食べる。停滞日は、即席ラーメンを生のままかじる。また「旅先であなたの忘れられない食べ物のアンケート」に、猿の糞煮、虎の肉、ハイマツの実、とある。(『地平線の旅人たち』(窓社)より)
もう一つは細貝栄の守備範囲のひろさ。不眠歩行、継続登攀、冬のルンゼ登攀、長期縦走、藪漕ぎ縦走、ヒマラヤの登攀、雨季のネパールトレッキング、ヒマラヤの山麓で水道設置工事や雪男さがし、ミャンマーでの焼畑農業調査、断食縦走。
あと今回のイベントで心残りだったことがひとつある。資料整理は暖かい図書館などではなく凍ったテントでやりたかったが、諸事情からできなかった。
【細貝栄(ほそがい さかえ)|1950年、茨城県生まれ】
東京都立大学に入学後、独学で本格的に登山をはじめる。冬の谷川岳一ノ倉沢における一連のルンゼ登攀。那須〜浅間山の藪漕ぎ縦走では、ⅠからⅥまで藪にグレードをつけた。冬の日高山脈や天塩山地や知床半島、南アルプスでノン・デポ、ノン・サポートによる長期縦走。タムセルク南西壁登攀、ヒマラヤ山麓で雪男さがしや水道設置工事、雨季のネパールや解禁直後のガンゴトリ山群のトレッキング、ミャンマー東部における山岳民族調査。そして断食による長期縦走を実践。
共著に『地誌学を考える』(中村和郎、岩田修二編)。あるくみるきく 147号「限りなき山行」、164号「ひとりぼっちの知床」
昨夜読んだ本。
『凪(なぎ)の人 山野井妙子』(柏澄子著)
かんじたこと以下。
・表紙がいい
→表紙をとりはずしてひろげてみるともっといい。激しい登攀とおだやかな日常と。
・凍傷で指を切断してからのほうがクライミングがうまくなっている
→指がある人よりも登れたりする。家事に関しては、指がちゃんとある自称・主婦のベテランより遥かにきちんとこなす。
・山行歴のさいごが南アルプスの南部というのもいい
→古希をむかえ、これからどんな山行がならぶのだろう。おそらく潮どきといった概念すらないのかもしれない。
2月もきょうで終わり。
1カ月の三分の二は、寒波襲来の津軽の山で過ごす。
凍ったテントのなかであれこれ考える。
厳冬アラスカの山で合計846日(16冬で)過ごした栗秋正寿の世界をおもった。
◇
画像は、今季最強寒波襲来の津軽。
今回も行ってよかった。
とつぜんの腰痛悪化で動けなくなることを予測して、何かあっても生き延びれるように、10日分の食糧と燃料を担いで入山する。
連日つづく大雪。下山した日の積雪4メートルを越えていた。
街でも例年にくらべて倍ちかい雪の量。
そして冬の津軽の山ではめったにない快晴にめぐりあう。
ごくたまにしか晴れないからいい。
冬の津軽の山は10年間で200日ちかく入山している。山の頂には数回立った。
30年ぶりか40年ぶりかで来た。
若いころロープなしで登っていた自分が信じられない。
昨夜読んだ本。
(ひさびさに再読)
『日本登山大系 南アルプス』
南アルプスは甲斐駒ヶ岳の岩壁の登攀を除けば1回しか行ったことがない。
中学生のときの夏、ひとりでテントで甲斐駒ヶ岳から聖岳までの縦走。
縦走そのものは歩けば目的地に着く。
登山道を行くだけで道に迷うことはない。
むずかしさはない。
(昨今のYouTubeやSNSが大げさすぎる)
その縦走で印象深かったのは、南アルプス南部(静岡県北部)。
林道の長さ、人里までの遠さ、つまり「山の奥深さ」だった。
三十代のころ、冬のカナダのロッキー山脈の長期縦走をテーマにとりくんでいたときも、アプローチの長い、つまり林道の長いコースどりをしぜんに選択していた。
五十代後半になった最近は、やっていることはスゴいわりに一般的に知られていない登山家の足跡を調べている。
南アルプス南部(静岡県北部)を舞台に、ボリュームある記録がいくつかある。
代表的なものに、、
ウェットスーツ製の渓流足袋をかつぎ上げ厳冬の大井川源流の沢登り。アプローチの長さから1本の沢だけで10日から2週間費やす。
ほかにもいろいろあるが諸事情により割愛。
中学生のときの数日間の体験が「山の奥深さ」というひとつのキーワードとして、自身の登山の価値基準となって定着しちゃったのかもしれない。
本を読み返しながらそんなことをおもった。