冬の津軽を1週間ほど旅してきた。
なぜだかわからないけれど、この地に魅かれた。
地味すぎるなかで、どこか深みのようなものをかんじる。
沈鬱と寂しさと閉塞感とがないまぜになって、独特の存在感をつくりだし強靭な生命力みたいなものをかんじた。
冬の津軽、そこは本州の極地だった。
1カ月余のカナダ中央平原の旅から帰国。
今冬はめずらしく(?)酷い凍傷を負うこともなく、大きなケガをすることもなかった。ところで、1995年以来20年間18冬におよぶ厳冬カナダのエクスペディションだが、ある出来事がきっかけとなって今冬であっけなく終わった。その出来事については諸事情との絡みもあり今ここでは公表できないが、今月中には公表できる。
挑戦を目的にする厳冬カナダは今冬で見切りをつけた。でも雄大な自然と穏やかな土地の人たちはあいかわらず好きだ。カナダ再訪にはやくも思いを馳せている。こんどは気象条件の厳しくない季節にふらりとやって来る。明確な目的はない。気の向くままに街で滞在し、ぼんやりと目の前の光景を眺める。南の島へ気分をリセットしにゆく感覚に似ているかな。集中していると見逃してしまうものがある。肩の力を抜いてはじめて見えてくるものがある。
きっとこれまでの20年間におよぶカナダでは見過ごしてきてしまったものが見えてくる気がする。そうしたわけで、おそらくカナダとは末長く付き合っていくとおもわれる。「厳冬カナダに通っていたころはよかったなぁ。厳冬カナダのエクスペディションに見切りをつけてもっとよかった」。何年か経って、そんなふうにおもえたらいいな。。。
雑誌に記事を書いた。
「氷点下40℃、カナダ中央平原を行く」。2つのメッセージを込めてみた。これから何かをはじめようとする人、挑戦したけど挫折してしまった人、大きなことを達成したけれどぜんぜん満足しない人、そんな人たちに何らかの励みになれたらいいな。中途半端なレベルを体験したくらいで自信をもってしまっているお山の大将、中途半端にコツコツ勉強したくらいで知ったかぶりになってしまっている自称・物識り、そんな井の中の蛙たちがムカッとしてくれたらおもしろいかな。いずれにしても賛否両論きっぱりとわかれれば、狙いはうまくいったと思う。詳細はこちら。
山と溪谷2014年2月号 | 山と溪谷社
日本に帰国して、さっそく凍傷の専門医に診てもう。
まず、眼球そのものは問題なし。じつはこれがいちばん心配だった。
こまかい説明は省略するけど、直接のダメージではないから。
頬も壊死部分が自然に欠落したので、これもとくに問題なし。
やっぱり今回は見極めがよかったのかな。