きのう読んだ本。 『僕はやっぱり山と人が好き 沢野ひとし対談集』 1980年代半ば戸田直樹、遠藤甲太、大内尚樹、大蔵喜福、江本嘉伸など18人との対談。 80年代半ばといえば、フリークライミングが急速にひろまりはじめた。クライミング雑誌では小川山や城ヶ崎で高難度のフリークライミングが頻繁に登場する。フリークライミングの先行きは明るかった。 一方、80年代半ばまでにエベレストもK2も無酸素登頂される。国内において最大級の奥鐘山西壁でも難ルートが冬季初登される。谷川岳一ノ倉沢衝立岩がフリー化された。アルパインクライミングにおいて大きな課題は一段落する。 60年代70年代にバリバリ活躍していた大学山岳部も社会人山岳会も急速に衰退、低迷がはじまった。 (もちろんごく一部の山岳部や山岳会は精力的に活動していたけれど、あくまでごく一部) 山岳会が元気になるのは飲み会のときくらい。 挑戦だけでなくより楽しさを追求する登山へと移行してゆく。 自分の好みの山もしくは山行スタイルを持ち合わせていない人は、ブーム(話題性?)が落ち着いたとたん路頭に迷ってしまう。 そうした時代において自分の山を見失わず、ユニークな登山や先鋭的な登攀を実践している人たちのはなしである。