『ああ南壁 第二次RCCエベレスト登攀隊』(藤木高嶺著)
きのう読んだ本。
(1カ月ぶりの読書(笑))
『ああ南壁 第二次RCCエベレスト登攀記』(藤木高嶺著)
まず南壁とはいまでいう南西壁のこと。
1973年秋、当時未踏の南壁(難しいルート)に挑むものの悪天候による時間的制限やそのほかの理由から、東南稜(南壁にくらべると難易度はかなり下がる)からの登頂にきりかわったというはなし。
総額約1億円、隊員48人という今日ではなじみのうすい大遠征隊。
登れることは登れるけれど個性も強いメンバーが集まってできた登山隊だから、もっと人間模様がドロドロしていて過激な口論とかも頻繁に出てくるのかとおもいきや、意外にもおとなしくまとまっている。
すこし拍子抜け。
この本ではさいごにちょこっとしか触れられていないけれど、南壁登攀でがんばった隊員たちのその後がおもしろい。
単独で冬の欧州アルプス三大北壁完登したり、当時としてはめずらしかった2人だけでヒマラヤ6000m7000mの岩壁を登ったり、これまた当時としてはめずらしかった国内で難度の高いアイスクライミングに取り組んだり(←こちらはこの本には出ていない)。
大遠征隊という組織色の濃い登山スタイルに違和感を抱いた体験を踏み台にして、各々があらたなるステージで次なる課題に取り組んでいる。
世の中大半の人たちは違和感を抱いても飲んだ席でぶつくさグチるだけで実践へと昇華できないのだから、やはり彼らは選ばれた人たちだ。