『人類初の南極越冬船 ベルジカ号の記録』(ジュリアン・サンクトン著)
昨夜読んだ本。
『人類初の南極越冬船 ベルジカ号の記録』(ジュリアン・サンクトン著)
19世紀のおわり、南極探検に向った船が氷に閉じ込めらて極夜を過ごした話。
(南極点も北極点も到達される前)
メモしたこと以下。
・想像していたほど壮絶ではなかった。隊員の大半が気が狂って半数以上が死んだのかとおもいきや、ほとんどが生還している(もちろん犠牲者はいる)。
→越冬できるだけの食糧、燃料があったこと。船という住処が確保されていること。衣食住がひとまず足りていると、危機感は大幅に軽減される。というのはオイラの経験でもじっさいにあった。
・危機に瀕してもマスコミ受けを意識している。
→出資者あってこそ成り立つ当時の探検。一般大衆の目を意識するのは当然の帰結。いまの時代の個人の趣味の探検とは背景が異なる。
・生還した隊員のその後がおもしろい。ある隊員はこの体験を生かしてのちに南極点到達を果たす。べつの隊員は怪しげなビジネス(?)で詐欺罪で起訴されて刑務所に入る。
→かたや成功者、こなた転落人生、という単純なはなしともちがう気がする。夢の実現と人を騙すことって、どこか水面下で繋がっていないか。大胆さと人を動かす力、そして斬新なアイデア。この極地探検家と詐欺師コンビは、船が氷に閉じ込められて多くの隊員が意気消沈しているなかでもっとも意欲的に解決策を生み出して脱出成功に導いている。