2年越しで一つの冬、「厳冬季カナダ中央平原北部・自転車縦断2000km(2008年~2009年)」を終えた。 凍傷、入院、手術、再起、完治しないままの再挑戦と長かった。自身のあらゆる葛藤という意味をも含めて。今は身体も精神も消耗しきっている。しばらくは動きたくも考えたくもない。のんびりまどろんでいたい。 突然始まって突然終わるのがいつもの自分の行動パターン。情熱的な行動とは祭りみたいなもの。跳ねあがるようにスタートして、熱中して消費して燃焼して、唐突に終わる。というのがむしろ自然に思う。 終わったと同時にこれまであった「やらねば」という焦燥感からも解き放たれた。犠牲にしたものが多すぎたかな、あの程度のことで気負いすぎていたかな、とも終わりと同時に痛感した。 しばらくは静養とともに旅の冷却期間が必要だ。温暖なところでうだうだ過ごしたい。いずれにしても終わると同時にまどろんでいるなんて、自分のこれまでの人生ではあまりなかった。いつもは終わるとともに次を考えたり、次が思い描けないと焦ったりしていた。 きっとこの充足感と脱力感は、足掛け2年におよんだ極寒の冬が、あらゆる葛藤が、つくりあげた気がする。もし今冬に「勝算のない挑戦」に旅立たなかったならば、この感覚は得られなかっただろう。