
「語るに値することは何ひとつありませんッ!」
近況を訊かれてそう答えると、たいてい空気が凍りついて会話が途切れる。
だってオリンピックでさんざんメダルをいくつ獲得したとか話題になってるってのに、自分なりにコツコツ努力したくれえで皆の前で何々やりましたなんておこがましくないだろうか。
他人との比較がすべてではないとはいえ、客観性がなさすぎるのもどうかな。
行動の成果そのもので完結するスポーツに対して、登山や冒険はいくらでも言葉によって偽造することができてしまう。
同じ登山や冒険であっても、死ぬかと思ったと一言添えることで、とたんにグレードアップされてしまう。
いや純粋に行動で勝負するアスリートと行動で足りないところを口でちゃらまかしてしまう登山家や冒険家のすさまじいばかりのギャップをすごく感じたりしているから。
だから近況を訊かれても、ぶっきらぼうに何もしてません、って自然に口から出ちゃう。
そういうトゲトゲしいノリが一般大衆を前にふさわしくないということはわかってるんだけど。
植村直己冒険賞20周年記念、ちょっと疲れたかな。
いや、けっこう疲れた。
きのうのトークイベント「日本の山旅」のようなものでは、こんなことを言いたかった。
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日本の山や自然は、海外にはない繊細さが見られる。
海外の山や自然には、日本にはない雄大なスケールが見られる。
どちらが魅力的かということではない。
そのとき行動者の心の琴線に触れたものが、行動者にとって最高の舞台(テーマ?)になるのだと思う。



トークイベントのようなもののお知らせだよ!
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●テーマ
「日本の山旅の魅力 ~~海外遠征を繰り返し、あらためて日本の自然の豊かさに気づく~~」
●トーク内容
これまで厳冬カナダの過酷な自然を舞台に活動をつづけていたが、日本の山旅の魅力について語るよ。雄大なスケールの海外の自然の中にいると、繊細で落ち着きのある日本の自然が、むしょうに恋しくなるときがある。
海外の山や自然には海外でなければ見れない光景がある。いっぽうで日本の山や自然にも日本でなければ見れない光景がある。海外での活動から離れて2年。あらためて日本の山や自然の豊かさ楽しみ方に気づいた。
いつものことだけれど、中途ハンパに勉強していたり中途ハンパな体験しかしていない人には、うまく伝えられないと思うな。というよりも伝える気はさらさらないから(笑)
●日時
7月2日(土)18時から19時
(トークのあとは、飲み会に突入!)
(トークがつまらんかったら切りあげて、飲み会に突入!!)
●場所
「おみせのようなもの」
横浜市南区中村町3-197
http://omise.nojukuyaro.net/?cat=5
●参加費
500円
(予約不要。どなたでも参加できるよ)
●詳細
http://omise.nojukuyaro.net/
●プロフィール
田中幹也(たなか かんや)
1965年生まれ。10代よりクライミングを始める。1983年神奈川県岩登り競技会2位。1985年から90年にかけてグランドジョラス北壁、谷川岳一ノ倉沢、黒部・奥鐘山西壁などの岩壁を200ルート登攀。冬季初登10ルート。より困難なアルパインクライミングをめざすも才能が全くないことを悟り断念。以後、水平方向の冒険に転向。1995年より20年間(19冬)にわたり厳冬カナダの山脈や平原を山スキー、徒歩、自転車で合計2万2,000km踏破。2013年、第18回植村直己冒険賞受賞。数年前より厳冬・津軽の山にも取り組むが、身体の故障ともあいまってトライする計画は全滅。共著に『山と私の対話』(みすず書房)、共編著に『目で見る日本登山史』(山と渓谷社)など。登攀クラブ蒼氷ОB。サンコンさん軍団。
ホームページ
「厳冬北極圏の旅 ――スキーと徒歩で400キロ、34日間――」(冒険家・関口裕樹)
●トーク内容
冒険家・関口裕樹さんが帰国早々報告会をやります!
前半は、関口さんの今冬の北極圏での旅。極地冒険には必携品といわれる衛星携帯電話や無線機を拒否。凍ったカリブーやクジラの生肉を食らい、カリブーの毛皮にくるまって夜を過ごす。最新鋭の電子機器、鋭超軽量の乾燥食品や新素材の防寒具が氾濫する今の時代に、なぜあえて古代の先住民のスタイルを求めたのか。みずから創りだした新しい旅のスタイルについて語っていただきます。
後半は、「人間やればできるなんて真っ赤な嘘。そんな寝言をいっとる輩は、やれば誰でもできるレベルで人生の幕を閉じる」など過激とも大人げないとも真実を突いているともいわれる「田中幹也語録」を放ち冒険界からも登山界からも社会からも大ヒンシュクを買う田中幹也さんと二人で対談。これからの冒険の可能性について語る予定です。
●日時
4月24日(日) 17時から19時
●場所
「おみせのようなもの」
横浜市南区中村町3-197
http://omise.nojukuyaro.net/?cat=5
●参加費
500円
●詳細
http://omise.nojukuyaro.net/
どなたでも参加できます!
来冬以降のほかではなかなか聞けない貴重なはなしも聞けるかもよ!!
●プロフィール
〈関口裕樹〉
http://ameblo.jp/timl40000k/theme-10049745165.html
〈田中幹也〉
ホームページ
きのうは住環境関連のところでトーク。
自分とはおよそ接点のないジャンルだ。
住環境に関する知識なんてこれっぽっちもない。
だからあえて住環境云々にからめた話をせずに、これまでやってきたことを淡々と話してみた。
いつものように自分にとって旅とは冒険とは云々といった結論も強いて出さなかった。
きょうの話の視点から、何らかの発想を生み出すきっかけになってもらえればいいかなと思った。
余談になるけど、、、
これまで自分が何かあたらしいことをはじめるときにヒントになったのは、なぜか自分がそれまで接点がないジャンルの本や話だったりした。