中学生のとき丹沢や南アルプスをひとりで歩いていた。 いまみたいに山の景色の記憶は皆無。 山でいちばんの楽しみは、ほかの登山者から山の話を聞くことだった。 まだ丹沢しか知らなかった自分にとって、どんな山の話も新鮮だった。 山の難度という概念すらなかったあのころ。 山も人も純粋に輝いていた。