すこし前に読んだ本。 『考える脚 北極冒険家が考える、リスクとカネと歩くこと』(荻田泰永著) この著者の足跡はいまさら語ることもないけど、ざっと触れてみる。 2000年より北極圏各地を15回(現在進行形を入れたら16回)、9000キロ以上を氷雪の上をソリを引いて歩いている。 2018年、南極点に無補給単独到達。 いまの極地冒険家の第一人者である。 さてこの本だけでなく、この著者の文章に「根拠のない自信」というのが何度か出てくる。 ちなみに根拠のある自信とは、それなりに実績や実力をつけたうえでようやく得られる自信とでも定義すればいいのだろうか。 根拠のある自信とは、よく考えてみればあたりまえっちゃあたりまえだ。 それなりに時間とエネルギーを費やして準備をすれば、それなりの自信は得られる。 根拠のない自信とは、経験も実力もともなわないけれど直感的に自分にはできそうだと思い込むことであろう。 なんとなくイメージしてみると成功した自分がそこにいる。 ところが根拠のない自信は、ときにやっかいでもある。 事情に少しだけ明るい人からのツッコミがしばしば入ったりする。 しかし根拠のない自信は、そんな雑音などスルーしてしまう。 たぶん根拠のない自信にはとてつもないポテンシャルがあるのだろう。 「たいして実力も実績もないくせに、アイツいったい何寝言いっとるんやッ!!」 事情に少しだけ明るい人は、しばしば頭ごなしに叩き潰そうとしたりする。 根拠のない自信を持っている人って、もしかしたら飲んだ席でのみ勇猛果敢にふるまうクソオヤジみてえに典型的な大ホラ吹きなのかもしれない。 でももしかしたら大衆を感動させたり事情に少しだけ明るい輩を脱帽させたりするくらいの大きなことをやってしまうのかもしれない。 じつをいうと自分のなかでも過去に根拠のない自信によって成功したことが何度かあった。