おなじ場所にいても、人によって目に入ってくるものってちがう。 自分の場合、十代から二十代前半にかけては、山に行っても岩壁しか見えなかった。 そこに行くまでの途中の景色も山頂からの眺めも、いっさい記憶にない。 二十代半ばからしばらく二十年以上は、山からかんぜんに離れた。 ふり返ることもなかった。 ここ数年は、山に行くとこれまで気づかなかったいろいろな自然の変化が目にとまるようになってきた。 また何年かしたら、きっと変わるだろう。 そのとき目にとまったものには一歩近づいてみる。 目に入らなかったものは無理してさがさない。 まわりで話題になっているとかメディアが勧めているとかではなく、そのときそのときで自分が目にとまったものを眺めていけばいい。 そのときその人の目に入ったものが、その人が求めているもの。