先週くらいに読み終えた本。 『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』(三浦英之著) アフリカゾウが絶滅に追い込まれている。 そう聞いてもたいていの人たちは、日本から遠いアフリカのできごとじゃないかと聞き流すだろう。 自分でも、関係ねえ、動物学者が対処すればいい、くらいにしか思わなかった。 この本は、アフリカゾウの密猟とその背景を追ったルポ。 密猟の目的は、象牙だ。 アフリカでは金さえ積めば罪は罪でなくなる。 輸出には中国人マフィアが絡んでいる。 このあたりまではなんとなく予測がついた。 読みすすめるうちにわかったのは、日本が象牙の消費国だということ。 日本に暮らしていてアフリカゾウなんて無縁でも、象牙の印鑑といえば誰もが比較的身近なものだろう。 そもそも日本が象牙の印鑑を高級品としてもてはやさなければ、中国人マフィアもビジネスにはならないし、アフリカゾウもここまで激減することもなかった。 という話である。 そんなの遠く離れた場所で起きてることじゃないか。そんなことより足元をちゃんと見ろよ。 そうよく言われたりする。 遠く離れた場所でのできごとだと思い込んでいてじつは自分でもその問題に加担しとるのに気づいてないだけだったことが、もしかしたらほかにもたくさんあるのかもしれない。