書評を書いた。 『失われた、自然を読む力』(トリスタン・グーリー著) 自分が山に行くときにGPSは持っていかないし地図やコンパスも必要以上には取り出さない。 おおざっぱな地形を頭に入れたらもっぱら勘を頼りに歩いている。 これまでそんなふうによく答えていたけれど、この本を読み終えてじつは経験に基づく知識や法則によるものであったことに気づいた。 たとえばこんなこと。 ホワイトアウトの山で地図やGPSに頼らずにおよその標高を知ることができた。 その山域の森林限界の標高を知っていれば、まわりの植生態から標高を逆算することができるわけだ。 あるいは目印に乏しい冬のカナダの大雪原ではスノーモービルの跡が頻繁に目につくようになると先住民の村が近づいてきたサインとなった。 ただ現代は地図読みやGPSの使い方が全盛で、自然のなかにあるサインになかなか目が向かないゆえになんとなく勘ですすんでいるだけだと解釈されてしまったようだ。 もちろん勘による部分もなくはないが、そう多くはなさそうだ。 もしかしたら経験に基づく知識や法則が、知らないうちにほかの人たちよりも多いのかもしれない。 この本は本格的な登山や冒険のためのサバイバル本ではなく、自然のなかを散策しながら自然からのサインを見つけ出してそれを手がかりに方角や位置を知るというひとつのゲームとして楽しむものである。 詳細はこちら。 https://www.yamakei.co.jp/products/2818901008.html