植村直己が厳冬マッキンリーに消えてから35年になる。 (1984年2月12日に単独登頂に成功したのち行方不明) 遭難の原因はいまだに定かでない。 さまざまな憶測が飛び交う。 ノンフィクション作家の角幡唯介は、年齢的な焦りではないかと推測する。 植村直己が亡くなった43歳という年齢は、説明するまでもないが体力は低下しはじめる。 これまでに数々の業績を残してきたけれど、それでもやりたいことやできていないことはまだまだある。 そうした焦りがあるからこそ、身体を動かしていないと不安になったのではないかと。 植村直己の亡くなった43歳を10年越えて53歳の自分も、スケールこそちがえどいまかぎりなく似た心境になっている。 自分の身体の故障がどんどん増えてゆく。 こんなはずじゃなかったのに。 山に入る度にそう痛感する。 だからといってどうすることもできない。 激しく行動しているときだけ一時的に年齢的な焦りから解放される。 身体を動かしていないとさらに不安になる。 悪循環のはじまりであることはわかっていながら、やめることはできない。 ※なお角幡唯介のコメントは、ビーパルの記事を参照